PV重視の記事執筆から脱却し、「書きたい」記事で収益をあげるには? ―スポーツライター・田尻耕太郎さんに聞く、「無料記事が当たり前」の業界の壁を超えるtheLetter活用法
theLetter ストーリーは、theLetter 上で活躍する書き手の方々に、メディア運営方法や活用の理由などを深掘りする公式ニュースレターのコーナーです。
スポーツライターの田尻耕太郎さんは theLetter を利用し「田尻耕太郎の鷹バン!」を運営しています。今回はPV重視の記事執筆から脱却し、届けたい読者に記事を届けながら収入の安定も図るtheLetterの活用法について伺いました。

「無料が当たり前」のスポーツ記事で、有料配信に挑む
スポーツライターとして24年もの間メディアの変遷を見てきましたが、業界ごとに記事のあり方が変わってきていることを実感しています。社会・政治・経済といったジャンルでは、ウェブメディアでの記事の有料化が進んでいる一方、スポーツ記事は依然として無料が主流です。そのため、読者の多くは「ウェブの記事にお金を払う」ということにまだ慣れていません。
そうした状況の中で、私がtheLetterで有料記事の配信を始めたことは、ある意味チャレンジングな試みだったのかもしれません。私のニュースレターの月額は890円ですが、月額課金の単価を下げることを価値としてしまうと、価格競争になってしまいます。
きちんと価値を維持しなければ業界は成り立たなくなるため、プロとして活動する以上、有料での配信は必要だと考えていました。しかし、無料記事が当たり前の環境で、どれほどの方に購読していただけるのか、まったく想像がつきませんでした。
theLetterを始めてからは、大手メディアと同じように、毎日記事を配信し続けました。「これで本当に良いのか?」という不安は常につきまといましたが、それでも続けてきたのは、大手メディアが取りこぼしてしまうニッチな情報や、24年にわたるスポーツライターとしての経験や球団・選手たちとの信頼関係からでしか書けない深い記事を求めている読者がいると思っていたからです。
今では選手がサポートメンバーとして登録をしてくれたり、球場でファンの方から「ニュースレターを読んでいます」と声をかけてもらえるようになったり、theLetterでの有料購読が、私の経済基盤の柱のひとつになっています。
収入をしっかり確立させるためのtheLetter活用法
有料購読者を増やし継続してもらうために、theLetterで配信する内容とその他のメディアで書く内容は明確に棲み分けています。theLetterに登録してくださる方は、わざわざメールアドレスを入力し、お金を払ってまで読んでくれる読者です。そこで期待されているのは、PV重視のメディア向けに書くような広い層に向けた記事ではなく、よりマニアックな内容。そうした深い記事が書けるライターにとって、theLetterのような記事単体ではなく、書き手に対して継続的な課金がされる執筆の場を持つことは、書きたいことと収入の両立させるための可能性を広げてくれます。
私は、試合があろうがシーズンオフだろうが、ほぼ一年中現場に足を運び、密着取材を続ける「番記者スタイル」のライターです。メディアではどうしても1軍のスター選手の記事が中心になりますが、私は2軍から4軍まで幅広く取材しています。そのため、マスメディアやスポーツ紙が手の届かない部分にまでカバーができたり、これまでのキャリアがあるからこそ気づける視点で記事を書くことができる。それがtheLetterの読者に喜ばれていると感じています。
theLetterには、サポートメンバーによる月額課金のほか、書いた記事をSmartNews+などの提携媒体にも掲載できる「マルチ配信」という仕組みがあり、掲載されると読まれる機会が増え、それがそのまま収益にもつながります。通常、大手メディアを経由しなければ掲載できないSmartNews+のような影響力のある媒体に、個人の書き手が直接記事を載せられるのはtheLetterで書いている強みです。
この「マルチ配信」の機能は、私がtheLetterを始めた当初にはありませんでしたが、導入されたときは「なんて素晴らしい仕組みを作ってくれたんだ」と感動しました。フリーで活動している以上、安定した収入を確保することが、活動の基盤として最も重要だといっても過言ではありませんから。
読者の反応が書き続けるモチベーション
昨年、福岡ソフトバンクホークスの監督を務める小久保監督から「SmartNews+に載っていた記事を見たよ」と声をかけてもらいました。取材で訪れた球場でも「読みました」「購読しました」と声をかけていただくことが多く、私のように関係者やファンがいる現場に出入りするライターにとっては、こうした反応がダイレクトにやりがいにつながるのではないでしょうか。
記事を書いていて改めて感じるのは、プロ野球をはじめとするプロスポーツ選手は、非常に学びの多い存在だということです。彼らは驚異的な成功体験を積みながら、その厳しい世界でさらに勝ち抜いていく。その過程には、成功だけでなく挫折もある。そんな試練をどう乗り越え、次につなげていくのかというプロセスは、野球ファンだけでなく、ビジネスパーソンにも知ってもらう価値があると思っています。
元プロ野球選手・監督の王貞治さんは、「同じゲームは一つとしてなく、野球のそばにいると胸がときめく」といった言葉を残しています。「だから飽きない」と。私も24年間この世界にいて、「飽きないのか?」と聞かれることがありますが、王さんと同じく、同じシーズンはなく、選手も常に入れ替わっていくのでまったく飽きることを知りません。
私は野球や選手たちが持つ“ときめき”を、「勝った・負けた」「打った・抑えた」といった結果だけでなく、その裏側にあるストーリーや、プロスポーツ選手から学べることとともに伝えたいと思っています。もちろん、毎回そういった記事を書けるわけではありませんが、試合結果だけにとどまらない記事を自分の裁量で自由に発信できるのも、theLetterの大きな魅力です。
これまで2年半、配信を続けてきましたが、運営方法は今も試行錯誤の最中です。読者とのつながりが特徴的なプラットフォームですし、運営の方も相談に乗ってくれるので、これまでの人脈を活かし、選手との対談や質問に答える配信ライブイベント、試合中継など、読者により付加価値を届けられるような取り組みができたらと思っています。
フリーライターとして活動する上で、収益を確保しながら、自分の書きたいことを発信し続けるのは簡単ではありません。しかし、theLetterのようなプラットフォームを活用すれば、従来のメディアにはない可能性を広げられると感じています。読者の皆さんの「読んでいます」「楽しみにしています」という声を励みに、これからも試合の勝敗だけでなく、その裏側にある選手の葛藤や努力、スポーツを通じて得られる学びを伝えていきたいです。
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