ニュースレターを書籍化する方法 - 即日重版のふらいと先生がプロセスを大公開 -

発売翌日に重版が決まり、Amazonの育児カテゴリで1位を記録!大きな反響を呼んだ小児科医・ふらいと先生に、ニュースレターがどのようにして書籍になったのか、そのプロセスをじっくり伺いました。
theLetter運営 2025.06.24
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theLetterには、「書いた記事がストックされていく」という特徴があります。この仕組みを活かして、ストック記事から書籍化へとつなげたのが、theLetter最大の読者数を誇る「ふらいと先生のニュースレター」を運営する小児科医・ふらいと先生。

今回は、ふらいと先生に「これまでとは違う書籍化のプロセス」や「より多くの人に届けるための工夫」について詳しくお聞きしました。ニュースレターの書籍化に興味のある方にとって、ここでしか読めないリアルな体験談が満載です。ぜひ最後までご覧ください!

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ニュースレターは書籍にできるのか? 

theLetterで子育てに関するニュースレターを書き始めたのは、2022年10月頃のこと。それから約1年後の2023年10月に、日経BP社の編集者の方から出版のお誘いをいただきました。

ただ、その当時はすでに4〜5冊の執筆プロジェクトを同時に進行中で、スケジュール的にもかなり厳しい状態。そこで一度はお断りしたのですが、「ニュースレターの内容をもとに書籍化できませんか?」というご提案をいただいたんです。

思いがけない提案に驚きつつも、これまでたくさんの反響をいただいてきた記事が一冊の本になると考えると、自然と興味が湧いてきました。ただ、「theLetterで書いたニュースレター記事の書籍化」という事例をこれまで聞いたことがなかったので、まずは、運営の方にニュースレター原稿の著作権について確認したところ、「著作権は書き手に帰属するため問題ない」との回答をいただきました。

それを受けて、どの記事を収録するか、テーマごとに分類していく作業がスタートしました。日経BPの編集者さんが2名ついてくださり、過去の配信から書籍の章立てに適した記事を一つひとつ選定していきました。

ふらいと先生のニュースレター | theLetter

ふらいと先生のニュースレター | theLetter

ニュースレターでは、熱心な読者に向けて、時事ネタや日々の思いを交えながら、タイムリーかつ時にセンシティブな内容も発信しています。だからこそ、多くの人が手に取る「書籍」として形にするには、時代を問わず通用する、普遍的な内容を選ぶ必要がありました。

「この記事は面白いけれど、3年後に読んでも価値があるか?」「エビデンスは確かか?」といった視点で、すべての記事を読み返しながら再構成を行いました。

ニュースレター書籍化までのスケジュールと苦労

ご参考までに、出版の打診をいただいてから実際に本が発売されるまでのスケジュールを簡単にまとめました。私の場合は渡米や他の仕事と重なり、作業が中断した時期もあったため、あくまで一例としてご覧ください。

書籍化プロセス(ふらいと先生のニュースレター) | theLetter

書籍化プロセス(ふらいと先生のニュースレター) | theLetter

特に大変だったのは、ニュースレターで引用していたエビデンスの再確認です。私のニュースレターは育児や発達に関する研究に基づいて書いており、エビデンスを明確に示すことを大切にしています。出版のお話をいただいたときも、「エビデンスはすべて掲載したい」とお願いしていました。

エビデンス再確認の他には、通常5,000字近くある記事を書籍用に圧縮する作業や、章間に挿入するコラムや書き下ろし記事の執筆も行いました。

多忙な時期が一段落した2024年9月から2025年3月にかけて書籍化の作業を本格化させ、3月末に原稿が完成。4月中に校正、タイトルや装丁、帯の検討を経て、4月28日に無事発売されました。

書籍化で悩んだのが、「有料記事をどのくらい本に収録するか」ということでした。私のニュースレターは有料のサポートメンバーと無料の読者がおり、有料部分には特に力を入れて書いています。ですから、「お金を払って読んでくれていた読者の信頼」を損なわないよう、慎重にバランスを考える必要がありました。

最終的には、有料記事の約3分の2を収録することにし、「書籍として届けることで読者が広がる」「ニュースレターの価値も守る」という両立を目指しました。

この判断には正直少し不安もありましたが、結果的には、ニュースレターという形態の特性もあって、「有料部分を本にしても抵抗を感じる人は少なかった」と感じています。むしろ、ありがたいことに多くの方に受け入れていただけました。

有用だった販促活動と出版後の反響

これまでに2冊の著書を出版し、複数の本の監修にも関わってきましたが、今回の本が最も大きな反響をいただきました。おかげさまで、Amazonの予約ランキングでも上位に入り、発売後には育児カテゴリで1位を獲得することができました。

Xでは、日頃からやり取りしている医療従事者の方々だけでなく、これまで関わりのなかった医療啓発に携わる方々からも好意的な感想を多数いただき、そうしたプロの方々の口コミが、反響の広がりにつながったと感じています。

医師が本当に伝えたい 12歳までの育児の真実 親子の身体と心を守るエビデンス(今西洋介)

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一方で、販促活動については、実はそれほど積極的ではありませんでした。過去の出版でも特別な販促をしたことがなかったため、あまり強い関心を持っていなかったのです。ですが、普段は穏やかな担当編集者の方が、「出版前にAmazonで予約を集めることは初速にとって非常に重要です」と真剣な口調でおっしゃったので、Xで事前告知を投稿したところ、ランキングが急上昇。結果的に翌日には増刷が決定しました。

また、お世話になっている方を中心に約30名へ献本も行いました。献本は、私が住所とリストをまとめて編集部にお渡しし、発売1週間前に発送していただく形で進め、なるべく医療分野だけでなく、さまざまな分野の方々にお届けするようにしました。

日経BP社の方では、書籍系デジタルメディア「日経BOOKプラス」にて「立ち読み配信」として3本の記事を公開してくださいました。これらの記事がYahoo!ニュースにも転載され、5万PV以上を記録。「立ち読み記事」も非常に好評で、そこから実売につながった手応えがありました。

書籍化の成功がもたらす新たな可能性

ニュースレターからの書籍化は、「過去の発信を再利用できる」という点でも非常に意義のある取り組みでした。ゼロから書き下ろすより、圧倒的に効率的です。もちろん、手間がゼロというわけではありませんが、「継続して発信してきた積み重ね」が、こうやって一冊の本という形で結実するのは、感慨深いものがあります。

また、書籍の発売日から数日は、新たな記事をなにも配信していないにも関わらず有料読者(サポートメンバー)も増えました。これは、完全に書籍との相乗効果ですね。

書籍化に際して気づいたことの一つは、「ニュースレターの過去記事は意外と遡って読まれていない」ということ。過去記事が多くなると、読者はすべてを読み返すわけではないんですね。

ニュースレター内でQAを行うと、過去記事に答えがあるにもかかわらず「読み逃していた」という反応がしばしばあります。しかし、書籍としてまとめれば「手元に置いて何度も読める」「誰かに勧めやすい」という大きなメリットがあるのです。先に書いた通り、有料記事をどこまで収録するか悩んだものの、結果的には多くの方に自然に受け入れてもらえたのは、「手元に置いておきたい」というニーズが確かに存在するからだと思います。

そして個人的に大きな収穫だったのは、「あ、もう1冊書けるな」と思えたこと。忙しい医師の仕事と並行しても、「積み上げた記事で本にすることができる」という実感が得られたのです。

theLetterは「プロ・専門家の執筆プラットフォーム」であり、私のように他の仕事と並行して記事を書いている人も多いと思います。そうした方々に伝えたいのは、日々の発信が「未来の本」になる可能性を持っていること、そして「ニュースレターとは異なる形でその情報を受け取りたい読者が確かに存在する」ということです。

私自身は、これからもコツコツと発信を続けて、第二弾につなげていけたらと思っています。そして、同じように日々の言葉を積み重ねている書き手の方々が、ニュースレターから本をつくる流れがもっと広がっていったら嬉しいですね。書き手にも読み手にも意味のある、新しい出版のかたちとして、これからますます可能性が広がっていく気がして、今から楽しみです。

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