精神科医・藤野智哉さんに聞く「現場医師こそ発信活動に向いている理由」

精神科医の藤野智哉さんに課金、価格設定などの考え方について伺いました。
theLetter運営 2025.03.20
誰でも

theLetter ストーリーは、theLetter 上で活躍する書き手の方々に、メディア運営方法や活用の理由などを深掘りする公式ニュースレターのコーナーです。

精神科医の藤野智哉さんは theLetter を利用し「精神科医 藤野智哉のニュースレター」を運営しています。前回は『精神科医・藤野智哉さんに聞く「書いた記事の価値を倍にする方法」』を配信しました。

今回は医師としての情報発信について焦点をあててお話を伺いました。

持続可能なメディアの運営には収益化が鍵

司法精神医学への興味や、心身に不調をきたす身近な人を助けたいという思いから精神科医の道を選んで7年程経ちます。現場で働く中で感じるのは、精神科領域には依然として多くの誤解や偏見が存在し、「エセ医療」と呼ばれる情報が容易に拡散されてしまうことです。

その結果、情報を求める人々は「何が本当なのか」判断に迷う状況に陥っています。そんな中で、不安や偏見に悩む人たちに正しい情報を届けたいと思い、発信活動をはじめました。

音声プラットフォームやオンラインサロンなど、複数の発信手段を試した結果、最終的にtheLetterでの発信を選びました。エビデンスに基づいてその分野の専門家やプロが情報を発信していること、他のプラットフォームに比べて安価な価格帯で情報提供が可能なところが決め手でした。

プロ・専門家向け執筆プラットフォーム theLetter

プロ・専門家向け執筆プラットフォーム theLetter

メディア運営には一定の費用がかかるため、持続可能な発信活動を実現するには収益の確保が不可欠です。しかし、過去に運営していたプラットフォームでは、投げ銭形式で応援をいただくたびに、「ありがとう」という感謝の気持ちよりも、「そんな、いいのに」といった申し訳ない気持ちが先立ってしまうことがありました。

ところが、theLetterを始めて7ヶ月。その「申し訳ない」という気持ちに変化が出てきたんです。

課金に対する「申し訳ない」気持ちの変化

きっかけは、「価格自由サブスク」という仕組みを使ったことでした。これは、書き手が設定した最低価格以上であれば、読者が自由に月額料金を選択できるサブスク型課金の機能です。

私の場合、最低価格は月額480円。過去に使っていたプラットフォームの半額以下に設定できています。そのおかげもあって、これまで以上に多くの方から課金をしてもらうことができ、目指している「広く正しい情報を発信する」という目標に近づけていると実感しています。

theLetter の「価格自由サブスク」は読者が自分で決めた月額でサブスクできる

theLetter の「価格自由サブスク」は読者が自分で決めた月額でサブスクできる

私のニュースレターでは、最低価格よりも高い金額を払って応援してくださる読者の方が多くいるんです。内容が変わらないにも関わらず、そういった読者の方がいるのは、純粋に応援の気持ちだったり、「長く発信を続けて欲しい」というメッセージだと受け取りました。このあたりから「申し訳ない」と思うよりも応援をしっかり受け取って、有益な情報を継続的に届けていくことの方が読んでくださる方々に結果的に価値を還元できると思えるようになったんです。

こんなふうに、情報を求める方も、応援をしたいと思ってくださる方も、それぞれに合った形で関われる仕組みは、読者と書き手の双方にとっていいですよね。

臨床と発信のサイクルが医師としての成長に繋がる

theLetterで情報を発信する中で、発信活動と診療活動は別々ではなく、ひとつのサイクルとして互いに影響し合っていることに気づきました。

記事を書くときは、日常診療の中で感じた疑問や患者さんたちの困りごとを元にテーマを考えることが多いです。「これを知るべきだ」と一方的に押し付けるのではなく、現場で実際に感じたニーズに沿ったテーマを選ぶよう心掛けています。そういった読者に具体的で実感しやすい情報を提供できるのは、臨床現場に常に身を置く医師の大きな強みです。

また、記事作成のためのリサーチや文章の整理は、私自身の知識を体系的にまとめ、新たな発見につながるだけでなく、診療にも大いに役立っています。週1回の配信を通じて、インプットとアウトプットのサイクルを確立できたおかげで、精神科医としての成長にも繋がっているように思います。

精神科医 藤野智哉のニュースレター | theLetter

精神科医 藤野智哉のニュースレター | theLetter

知識は活用されなければ埋もれてしまいがちですが、記事として自分の言葉に置き換えることで、「使える形」のデータベースとして蓄積できるのも大きなメリットです。各疾患や症状について知識があっても、それらの情報をテーマごとに調べて整理する機会はなかなかありません。頭の中だけで整理するのと、記事として伝えるために自分の言葉にするのでは、まったく異なります。毎週約3000字の記事をまとめる作業は、正直大変ですが、いい刺激になっています。

今は、ありがたいことに日に日に読者が増えているので、まずは純粋に記事を読みたいと思ってもらえるように内容を充実させて、「広く多くの方に正しい知識を届ける」ことに近づけていけたらと思っています。

そのためにはまずは続けること。こういった発信活動は、続かない人の方が多いんです。だからこそ、土俵に立ち続けることに意味があります。精神疾患の治療には時間がかかることが少なくないので、情報を届けることで読者の皆さんに長く寄り添っていきたいですね。

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