フェーズごとの読者獲得のポイント!2,000人までの道のりを大解剖 | theLetter ストーリー #3 クルマのイマがわかる モビイマ!
自動車業界の最新ニュースを内側から解説するニュースレター「クルマのイマがわかる モビイマ!」。2,000 人の読者から支持を集め、自動車業界のコミュニティに貢献し続けているニュースレターです。
「モビイマ!」を執筆するカッパッパさんにニュースレターの読者を増やす方法についてインタビューしました。読者数 0 → 500 人、500 → 1,000 人、1,000 → 1,500 人、1,500 → 2,000 人、それぞれの段階でどういった狙いを持って、どのような施策を実施してきたのでしょうか。ニュースレターを戦略的に成長させるための考え方やテクニックを聞きました。
サマリー
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まずは自分の周辺の人に登録してもらう
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ヒットコンテンツが伸び悩みを救う
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ニュースレターのコラボレーションを行うことで読者獲得する
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トレンドをつかみ、個性で差別化する
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メールアドレスは書き手に帰属し、個人ブランドの価値の源泉になる
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まずは「ニュースレターの強み」を理解する
ーー カッパッパさんは theLetter をはじめ Twitter や note など、さまざまな形で発信をされています。まずはそうした発信を始めた経緯を教えてください。
カッパッパ:一昨年ぐらいでしょうか。「副業の時代」と叫ばれるようになって、それと同時に個人も情報発信したほうがいいという風潮がありました。その中で、僕はたまたま自動車業界にいて、業界のニュースをよく見ていました。もしかしたら、自分のインプットした内容を発信していくことに需要があるんじゃないかと思って。まずは Twitter を始めました。
その後に、note を書いたのですが、反響がとても大きかったんです。特に就活生の方のリアクションが多かったので、そういった方に向けて業界研究とか企業研究について記事を書けば、みんな読んでくれるんじゃないかと思い、継続的に記事を書き始めるようになりました。すると、ITmedia さんから「うちで書いてみませんか」とお声かけいただいて、ウェブ連載も始まりました。
ーー そんな中で、theLetter でニュースレターを始められたきっかけってどんな感じなんですか。
カッパッパ:note で発信して気がついたことは、読まれる記事と読まれない記事に大きな差があるということ。そこでは読まれるためのテクニックみたいなものが必要になります。定期的に記事を配信する中で、みんなに毎回読んでもらえるようなものを発信していきたいなっていう思いがありました。その点、ニュースレターっていうのは、登録してくれた読者の方に毎回届くのでメリットを感じました。
実際にニュースレターを始めると、継続的に発信していくことで、「記事間に存在する前提」を共有できることにも魅力を感じました。それ以前の記事から続く文脈をある程度理解いただいたまま読んでもらえるので、誤解されることが減ったと思います。
例えば note では単体記事だけを読んで、「カッパッパはアンチテスラだ」とか「日本自動車業界を持ち上げすぎている」と言われてしまうことがありました。そんなことはまったくなくて、平等に扱っていることは、たぶんニュースレターを読んでいただいている方だったら分かっていただけます。単発記事で判断されないというか、連続して読者に届けられるニュースレターでは書き手のスタンスっていうところまで分かってもらえる。それが良いところだと思っています。
その中で、theLetter を使っている理由は、私のニュースレターを登録してくれた方のメールアドレスをエクスポートすることができるから。LINE とか note でも同じことをやろうと思えばできると思うんですけど、プラットフォーム頼みになってしまうんですよね。特にアカウントが何かでバンされたら終わりだし、プラットフォームがなくなれば全部チャラになってしまう。theLetter では登録してくれたメールアドレスが書き手に帰属するところがありがたいですね。
theLetter にしてみると、エクスポートされることはつまり書き手の離脱を意味するので、デメリットかもしれない。ですが、書き手からするとメリットが大きい機能です。
読者 0 → 500 人:プレゼント企画でスタートダッシュ
ーー カッパッパさんは読者数のフェーズごとに戦略を変えたそうですね。最初の 500 人はどうやって獲得されたのでしょうか。
カッパッパ:僕は幸いなことに、ニュースレターを始めた当時、すでに Twitter で 5,000 人くらいのフォロワーがいました。なので、そのフォロワーの方に登録していただけるように、Twitter 内での宣伝に力を入れました。具体的には、プレゼント企画を立てました。別のところですでに作成していた業界研究の PDF があったので「今登録するとこれがもらえますよ」とキャンペーンを打ちました。加えて、ニュースレターを作成するプロセスも発信していました。「今こういう内容を書いていて、すごく面白い内容になりそうです」「やっと書き上がりました!」といった感じです。この方法で最初の 500 人には順調に登録してもらうことができました。
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note.com/kappa03/n/n72a…
500 → 1,000 人:制作時間を倍に増やして「深さ」を出す
ーー いい立ち上がりでしたよね。500 人から 1,000 人ぐらいの段階ではどういうことをやられていたんですか。
カッパッパ:実は、その段階で伸び悩んだ頃がありました。理由は簡単で、Twitter のフォロワーさんが一通り登録してくれたところで止まってしまったからです。どうすれば読者数を伸ばせるのかを考えていろいろ試行錯誤はしましたが、なかなか伸びませんでした。その壁を突破すべく、力を入れた記事を書いてみました。お盆休みなのでかなり時間があって、内容の深い記事を書くことができました。もう一つは、偶然にそのタイミングでトヨタの減産という大きなニュースがあって、それについて書いた記事がバズりました。そこで大きく購読者数を伸ばせたんです。
ーー あの記事ってどれぐらい時間かけて作られたものなんですか。
カッパッパ:通常だと 1 記事 3 ~ 4 時間ぐらいなんですけど、あの記事に関しては 1 記事だけで 10 時間ぐらい。あの記事の執筆は 2 倍弱ぐらいの時間がかかってますね。いろいろ調べたりするのが大変でした。
ーー それが結果的に Twitter のフォロワーさんの外にまで広がるような記事になった?
カッパッパ:そうですね。あと、出した時期もよかったのかなって思っています。お盆休みは読者の方も時間があるので、見てくれやすい。それもなかなか良かったのかなって思っています。
ーー 確かに、あの記事結構長文でしたね。
カッパッパ:ニュースレターは比較的長いので、敬遠されてしまうことも多々あったりするんですけど、時間があると読んでくださる方も多いのかなというふうに思いますね。
1,000 → 1,500 人:コラボで加速するニュースレター
ーー 読者が 1,000 人を超えたあたりで、コラボレーションをされていましたよね。
カッパッパ:はい、いろんな方とお話ししながらですね。自動車業界で今話題なのは電気自動車や電池。その電池に詳しい悟空という方とコラボレーションして記事を書きました。その方もフォロワーが 1 万人ぐらいいたこともあってか、記事がかなり伸びました。
今回のニュースレターでは日本のEVの風向きを一気に変えたトヨタEV戦略をやけに電池が好きな孫悟空@denchigoku さんと対談し、解説。
その一部を紹介します。
その方とは Twitter 上で普段から仲良くさせていただいていました。Twitter でつながって仲良くなってご一緒することが多いですね。Twitter でこの人はすごいなとか、一緒に話したら面白そうだな、みんなが興味ありそうだなと思う方が何人かいました。そういった方にお願いしてコラボをやったり、っていう形でやっていますね。
ーー どのような形でアプローチをしたんですか。
カッパッパ:こういう企画でやろうと思っているんですけど、という感じで Twitter の DM を送りました。
ーー なんで彼らは参加してくれるんですか。
カッパッパ:仲が良いというのが一番。これで僕自身がそんなにお金を求めようとしていないっていうことがあるのかなと思います。自動車業界コミュニティに貢献したいということなのかなと思います。
ーー そうした人脈はどうやって作りましたか?
カッパッパ:まずはこちらから積極的にコンタクトを取ることが大事かなと思います。もしコラボしたい方がいて、その人の本や記事を読んで「読んで勉強になった」と感想をつぶやくみたいなことをするのが有効ですよね。20 万部以上売れた『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方』の著者・大手町のランダムウォーカーさんと一緒に Voicy でコラボしたときがあったんですけど、本の感想を投稿した辺りから仲良くなることができました。
あと、その人のツイートに乗って引用ツイートを投稿して、賛成ですとか、自分はこう思いますっていう発信をする。まずは相手に認知してもらう必要がありますよね。特に本を書かれている方は、すごく SNS 上の反応を気にされているので。
そして、それを継続的にやるということがかなり大きい要因になるかなと思います。あとは、オンラインサロン的な、コミュニティに入って、そこで仲良くなっていくっていうのもありです。オンラインコミュニティだと、よりコミュニティが限られた範囲になるので認知されやすいっていうのと、それを主催している方だと、自分がお客さんっていう立場になるので、コラボレーションの依頼をしやすくなるというところはありますよね。
ーー 1,000 人超えたあたりから読者が勝手に増えるようになったとおっしゃっていましたね。
カッパッパ:それまでにいろいろ書いてきた物の中にニュースレターへの動線っていうのをたくさん入れてきました。その仕込みが今になって花が開いて、どんどん勝手に入ってくるようになったのかなと思っています。最近では最新の記事から新規の方がいらっしゃるかというわけではなくて、それ以前に仕込んだ流入から来ていただくことが増えています。
1,500 → 2,000 人:トレンドをつかみ、個性を出していく
ーー そうした手法を組み合わせて、1,500 人を突破してきたのですね。
カッパッパ:そうですね。ここまでくると、どうやらトレンドを上手くつかむと大きく読者数が伸びるらしいということが分かってきました。これは伸びるぞっていうニュースがそれまでの経験から分かるようになってきました。これは伸びると確信したニュースが出たら、その日、あるいは翌日ぐらいに号外っていう形で記事を出していきました。それらの記事が読者数が伸びた要因になりました。
例えば、トヨタさんがフルラインナップでEVを発表したときも大きな反響がありました。自動車業界以外の人まで賑わせるようなニュースがあったときに、それはかなり伸びる傾向があるのでいろいろな角度から記事を出します。ニュースを扱うニュースレターを書いている人っていうのは、その点を意識すると伸びるんじゃないかなと思ったりもします。
これまでトヨタのEV戦略は後ろ向きとされ、日本のみならず世界から批判。環境団体から最下位をつけられてしまうほど低評価。しかし12/14発表されたトヨタのEV戦略は一転。世界でもTOPクラスのEVシフト。業界中の人視点でそのえげつなさを解説します。1/7
僕ははてなブックマークをよくチェックするようにしています。なぜなら、あそこで車関係のニュースが上位にきていたり、ブックマークがたくさん付いていたりするときは、業界以外の人が見ていることを意味するからです。あとはテレビニュースやヤフーニュースに出ている記事の数がものすごく多いというときには、そのテーマについて一般の方が強い興味を持っているっていうのは間違いない。そこでトレンドを把握していますね。
ーー なるほど。そういうニュースと同じ題材で記事を書くときにどのように違いを出そうとしていますか?
カッパッパ:いわゆるファストニュースって、基本事実を中心に書かれているんですけど、他業界とか車業界の中にいる人からすると、このニュースの読み方というか、それによって何がどう変わるのか、今までとどう違うのか、みたいな解説を意識するようにしています。
業界の内側から見たときにこれどうなのっていうところで、深く踏み込む。あとは未来はどうなるのっていうところまで含めて意識的に書いていると思います。普通のニュースより深く、より細かく、より専門的であるかなと思います。
あと未来予測とか判断、意見という部分は、新聞やテレビといった大手メディアでは出しづらいところがあると思います。僕としては、それらを個性や味だと思って、ニュースレターの特色として出したい。そうしたオピニオンなどでニュースのトレンドに合わせて差別化していくことで、読者数を伸ばしてきたところがあるかと思います。
僕がすごく好きなニュースレターに共通するのは、書き手の人間味が伝わってくる点です。個人の考えや人となりが出てくる文章に強く惹かれます。それがニュースレターの良いところだなとも思います。
ちなみに僕が一番好きなニュースレターはるーびーさん。酒のつまみになりそうな料理を投稿されている方です。記事のタイトルも「牛タン最高!」といった感じで「そうだよね!」と 100 パーセント同意できる。あれが最高なんですよね。僕がニュースレターで一番やりたいことなんですよね。
ニュースレターはいくらで売れるのか?
ーー カッパッパさんは有料化も始められて、課金率も高く保たれています。
カッパッパ:自分で発信していく中で目標にしていたのは、1,000 人を超えたら有料化を考えようと思っていました。半年で 1,000 人という目標を立てて、計画通りに達成できました。いざ始めるとなると、無料と有料との差別化を考えなければなりませんでした。僕の場合は、業界内の人に向けてより細かく、より深い話というのを有料化の方で書くようにしています。基本的にコンテンツは有料が週 1 本、無料も週 1 本っていうペースです。
ーー 価格はどうやって決めたのですか。
カッパッパ:現在は月額 580 円っていう設定なのですが、その値にした理由は昼食を外食で済ませる時に大体それぐらいの値段だったから。1 回の昼食代とかビール 1 杯分、読者の方がお得感を感じてくれる値段ってこれぐらいだよなあっていうのを思って設定しました。僕にビールをおごってやるぐらいの形で考えてください、みたいな(笑)。あとは、雑誌 1 冊の値段もそれぐらいですからね。有料 note をその前に出したときの反応なども参考にして、情報発信としてこのくらいの価値はあるだろうというある程度の確信はありました。
有料 note とニュースレターは絶対に一緒にやった方がいいです。情報の価格というのは、決まっていないんですよね。実はいくらで売ってもいい。同じ値段の有料 note でもあるんだけど、ニュースレターの方が早く読めるし、過去の有料記事も全部読めるからお買い得ですよという動線を作りました。結果的に、ニュースレターにかなり読者が移動しています。note はドメインパワーが強く、人が集まるプラットフォームなので、書いて置いておくだけでもある程度読まれます。一方で、theLetter 自体に読者候補の方が集まっているわけではない。note で集めた人をニュースレターに流していくとニュースレターの集客の課題を補うことができます。だから、有料 note と theLetter の両方を書くことで theLetter の良さを最大化することができると思います。
クルマのイマがわかる モビイマ! - theLetter
収益だけではない!ニュースレターのブランド価値
ーー 有名な人たちから連絡がきたりしたそうですね?
カッパッパ:自動車業界の有名人から連絡が来ることもありました。他にも人気ブロガーで「切込隊長」の異名を持つ山本一郎さんが、僕のニュースレターや note を参考に記事を書いていただいたこともありました。著名な方とつながるうえで Twitter の DM が役に立ちました。このように専門性が高い情報を発信していれば、業界の内外を問わずに著名人と直接やりとりするチャンスだって巡ってきます。
加えて、情報発信をし続けることで「自動車業界に詳しい人」と認識されるようになり、個人のブランド力を築くことができました。そのブランド力の中に、ニュースレターの発信が占める割合は非常に大きいと思います。
情報発信でブランドを構築する際に、業界ウケするネタというのを意識しました。登録されているメールアドレスを見ると、ほぼすべての完成車メーカーの方や、大手部品メーカーの方もたくさんいます。
ーー 最後に、どんな方がニュースレターに向いていると思いますか?
カッパッパ:一つ目が、定期的に書くのが苦にならない方。2つ目が、自分の好きなように書きたい方。ブログとか note のようにネット上で記事を読んでもらおうとすると、バズりやすいタイトルや書き方があるんですよね。むしろ、それをやらないと人に読んでもらえない。しかし、ニュースレターというのは、自分の好きなやり方で書いて、その情報を欲しがっている方にメールで直接届けることができる。バズることに捉われずに書きたい、という方には、とても相性がいいと思います。
僕は SEO とか、そういったものを意識して書くのはすごく嫌なんです。できないことはないんですけど、それで書くのは嫌いなんですよ。「結論はこうで、困っている点はこれで、解決策はこれです。いかがでしたか?」というような文脈は使いたくない。ニュースレターは読みたいから登録してもらっているという形式なので、SEO やバズる書き方を気にしなくていいというところも、僕の中では大きなメリットを感じています。
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