最速で読者1万人突破!「ふらいと先生」が theLetter で医療啓発をする理由 | theLetter ストーリー #9

医療啓発を行う小児科医のふらいと先生へのインタビューです。
theLetter運営 2023.02.01
誰でも

theLetter ストーリーは、theLetter 上で活躍する書き手の方々に、ニュースレターの配信方法や活用の理由などを深堀りして共有する公式ニュースレターのコーナーです。

今回は theLetter 史上最速で読者 10,000 人を突破した『ふらいと先生のニュースレター』を運営する小児科医・研究員のふらいと先生に、なぜ広く届けたい医療情報を一部有料で配信しているのか?についてお話を伺いました。

サマリー

  • メディアと「エビデンスに基づく情報」の相性と今の発信環境の課題

  • 医療啓発における情報発信の持続可能性

  • テーマの決め方と、有料と無料配信のバランス

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ふらいと先生(今西洋介さん)のプロフィール

新生児科医・小児科医、小児医療ジャーナリスト、一般社団法人チャイルドリテラシー協会代表理事。漫画・ドラマ『コウノドリ』の取材協力医師をつとめる。作中の今橋先生のモデルでもある。

theLetter では未成年のお子さんがいる親世代の方が知っておくとよい「エビデンスに基づく子どもを守るための知識」を日々届けている。

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正確さより「センセーショナルさ」をもとめられる医療啓発の今

もともと医師である私が SNS などで発信するようになったのは、目の前の患者さんを救うだけでなく、正しい医療情報をより広く啓発することの必要性を感じたからです。

医療者であれば、正しい医療知識に理解があれば救えた、ということにたくさん遭遇します。

例えば、アトピー性皮膚炎のお子さんの患者さんがいたとして、親がエビデンスを重視せずステロイドに嫌悪感を持ち、自己療法のように治療を進めた結果、死の間近になるほどにお子さんのアトピー性皮膚炎が進行するといったこともあるのです。

公衆衛生では「川の理論」という考え方があって、医療知識のインプットや手洗いうがいなどの予防行動という「上流」でのせき止めがなければ、下流に大量の患者さんが流れつくことになります。通常、我々医師が病院で接する患者は、症状がハッキリ出ている下流に流されてきた方です。エビデンスに基づいた知識や予防行動があればより上流で病気から逃れることも期待できます。

しかしがら、上流の方ではビジネスの副作用として間違った情報、エビデンスに基づかない都市伝説のような情報が信じられないほど多くの方に信仰されているケースもあります。健康や美容の医療情報だけではなく、私の専門の小児医療の世界でも同様です。子どもに関することはデマも多いのです。

そうした課題感から SNS の発信に加えてメディアへの出演、大手媒体への寄稿、書籍の監修など多くの医療啓発に結びつくチャレンジをしてきました。

しかし、正しい医療情報を伝えようと一緒に尽力くださる媒体も多いものの、事実を曲解されかねない派手なタイトルにされてしまったり、PV を狙うがあまり、よりエビデンスを重視しないセンセーショナルな方向へと編集されてしまうこともあります。

残念ながら、正しい情報でないと意味がない医療啓発と、ビジネスの都合もあり大衆にウケる必要がある大手メディアとの相性は、そこまで良いわけではありません。

情報を無償で発信することの危うさと有料配信の理由

私は月額有料の配信をすることを当初考えていませんでしたが、医療者による情報発信の「持続可能性」については前々から課題を感じていました。

私が『ふらいと先生のニュースレター』で実践しているエビデンスに基づいた情報発信というのは、とにかく手間暇がかかります。場合によってはお金をかけて取り寄せた論文をインプットしなければならないこともあります。

医療者はジャーナリストやライターとしてフルタイムで仕事をしているわけではないので、普段臨床の仕事をする医療者にとって、医療情報を発信していくことはボランティアのような位置づけになっています。情報発信のリスクや労力と対価が、まったく見合っていないわけです。

しかしボランディアだからで済ませて情報発信を怠ると、ワクチンの情報一つにしても、あっという間にエビデンスに基づかない情報が、まるで事実かのように広まってしまいます。

そうした課題感もあり医療啓発する人を増やしていきたいわけですが、現状だと労力に見合った対価をいただける仕組みがあまりないので、まずは自分が成立させることで医療啓発の持続可能性の一つのモデルを示したいと考えて theLetter で色々試しています。

theLetter での配信を始めた理由はもう一つ「社会貢献」があります。

子どもの医療の観点からみても、たとえば小児性被害などの実態調査やケアなど、そういった支援団体の活動が非常に重要になります。

しかし関わりのある NPO などの支援団体の活動を見ていても、お金に困っていないところなどありません。なんとか寄付でやりくりされていますが、全然足りていません。

そこで私が情報発信・医療啓発の活動で得た収益の一部を支援団体に寄付していく、という形でエコシステムがつくれないか、といったチャレンジも始めています。

支援団体への貢献を含む医療啓発の持続可能性に一つのモデルを示し、エビデンスに基づいた正しい情報を発信する人がもっと増えればなという想いで試行錯誤しています。

テーマの決め方と無料記事と有料記事のバランス

配信する曜日や時間は決めていないのですが、有料の記事は毎月 4 ~ 6 本という約束を読者さんとしています。その他は無料の記事です。今、有料の読者さん向けにはオンラインイベントも企画しています。

今のところテーマによって明確に有料か無料かの基準はありませんが、子どものワクチン接種などに関わる公共性の高いテーマは無料にして配信しています。無料と有料の配分はまだまだ試行錯誤の余地があります。

一部のお金を払ってくださる読者さんがいらっしゃるからこそ、公共性の高いテーマを広く供給することができます。

無料の記事にも、過去にどんな記事を配信してきたか?とか、そもそも毎月どのくらい配信しているのか?どこから登録できるのか?などの情報を載せているので、無料配信なのに有料の読者さんが増えたりもします。

毎回、記事を配信する直前の「読者数」を覚えていて、「24 時間後の読者数」と比べて反響を確かめています。どんな記事がもとめられているのか、もとめられていないのか、などの感覚を配信後 24 時間の数字を見て養っています。

そうして計測してみると、自分的には上手く書けた!と思えるテーマが、実は読者さんには全く刺さっていなかったり、その逆だったりと、ギャップに驚きながらも読者さんのニーズに近づくことができます。

もし、私と同じく医療啓発の領域で theLetter の発信を考えられている方がいらっしゃいましたら以下から応募することで文面や打ち合わせなどのサポートを得ることができますので、ご興味のある方はぜひ。

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今回インタビューにご協力いただいた『ふらいと先生のニュースレター』はこちら。

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