知見が集まる「持続可能な執筆の場」をつくる | theLetter ストーリー #8 井出留美のパル通信

食品ロスジャーナリストの井出留美さんに持続可能な執筆の場をどのようにつくっているのかお聞きしました。
theLetter運営 2022.10.31
誰でも

theLetter ストーリーは、theLetter 上で活躍する書き手の方々に、ニュースレターの配信方法や活用の理由などを深堀りして共有する公式ニュースレターのコーナーです。

本日は theLetter で『井出留美の「パル通信」』を運営する、食品ロスジャーナリストの井出留美さんに、執筆を継続するためにどんな工夫をされているのかインタビューさせていただきました。

サマリー

  • 執筆物は自分のいないところで自分を広めてくれる

  • 自分の情熱を持てるテーマで、熱心な読者の方々のために書く

  • 双方向性のあるメディアをつくることで、コンテンツ以上の知見が集まる

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井出留美さんプロフィール

ライオン株式会社、青年海外協力隊、日本ケロッグを経て3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け独立。食品ロス削減推進法成立に協力。政府・企業・国際機関・研究機関のリーダーによる世界的連合Champions12.3メンバー。『食料危機』『賞味期限のウソ』など著書多数。食品ロス問題を中心としたジャーナリスト活動、政策提言など活動中。2022.10.26 には新著『北欧でみつけたサステイナブルな暮らし方』を出版。

***

講演中心 → 執筆中心へのシフトの理由

私は食品メーカーに勤めているときから講演活動をしてまして、独立後もその流れで講演の依頼を受けておりました。そこで感じていたのは「ほぼ毎週のように講演しても、伝えられる人数には限りがある」ということでした。

さらに、一度長野県で講演をしていたときに、喉に負担をかけすぎて途中で声が出なくなる、ということがありました。このままでは仕事としてもきちんとした講演を提供できないと考えました。講演は全国各地を飛び回るため、移動にも体力を使います。

シンポジウムでモデレーターをつとめる井出留美さん

シンポジウムでモデレーターをつとめる井出留美さん

そのときに執筆で伝えることに興味を持ちました。出版講座に通った時期もあり、2016年に食品ロスの本としては初めての『賞味期限のウソ』を出版し、修士論文や生協会員向けにイタリア語や韓国語に翻訳されたり、入試問題として扱っていただけたり、本をきっかけに新しい仕事をいただけたりと、私が知らない間に執筆物が私の広報活動をしてくれている、ということに気づきました。

そこからYahoo!ニュース個人のオーサーとして執筆したり、書籍を書いたり、メディアに寄稿させていただいたりと、取材して記事を書くという活動が増えてきました。

持続可能な執筆活動のために必要なこと

書籍の執筆、メディアへの寄稿、Yahoo!ニュース個人のオーサーとしての執筆活動など、活動の幅が広がったのはありがたいことです。そうして、食品ロスの専門家として依頼をいただくことが増えました。

もちろん食品ロスは私の根っこ部分であり専門のテーマなのですが、逆にその周辺のことについて書くことが難しくなりました。食品ロスというのは、食品だけでなく、ごみの問題や環境問題、食品関連企業の経営など、あらゆる分野が関連するテーマです。

本当は大切なことだけど、他のメディアでは書く機会がない「専門から少し外れたりニッチすぎるテーマ」も扱いたくて、theLetter を使って執筆をはじめました。私の個人メディアになるので、テーマ選定は読者の方々のニーズを取り入れながらも自由にすることができます。

また、有名なメディアで書くと、記事を読まずにタイトルだけ見て批判がくることもあります。的はずれで事実に基づかない批判をする匿名の批評家が SNS 上で続出するのです。自分の精神面の健康も考えないといけません。

theLetter で発信していると、能動的に読んでいただける非常に熱心な読者の方々に集まっていただけます。そうした読者層ですので、ご意見をいただくときにも非常に真摯なものばかりで、こちらも勉強させていただくことが多いです。

食に関してここ数カ月で報道されているテーマが「値上げ」ですよね。なんとなく、値上げするメーカーはよくない、値上げしないスーパーやコンビニはえらいみたいな風潮があるように思います。表面上はそうかもしれませんが、よくよく調べていけば値上げをしない小売りのしわ寄せがメーカーにきている、なんてこともあります。

そうした食にまつわるマスメディアの切り口だけを鵜呑みにされないために、今後も取材・調査したことを theLetter で発信していきたいと思っています。

自分の情熱を持てるテーマを、資金面でも支援いただける熱心な読者の方々のために書くことで、広い層に向けた啓発活動もより持続的に可能になると考えております。

知見が集まるニュースレターメディアづくり

ちょうど 50 本無料で読める記事を theLetter で配信したあと、有料の設定とアナウンスをしました。有料読者さん向けには毎週記事を書いていて、無料読者の方々には今月配信したトピックスというまとめ記事や不定期でお送りする無料の記事をお送りしています。月でいえば、5 ~ 6 本ほど記事を配信しています。

また、有料読者の方にはプライベートの Facebook グループに参加していただき、より深い議論ができる場も用意しています。

私の理想のメディア形態は「双方向性のあるメディア」です。

ケロッグ社に勤めている時代に広報室ニュースレターを配信していました。当時の工夫として、営業部やマーケティング部や工場など、いろんな方から意見をもらえるそうなトピックをニュースレターに盛り込んでいました。そうすることで、あらゆる現場から声が返ってきて、社内全体に各部署の課題感や魅力、専門知を共有することができた、という経験があります。

theLetter に関しても、そうした双方向性が得られています。何か書くと必ずメールの返信や、Facebook グループでのコメントをいただけます。

これまで書いてきた媒体だとどうしても一方通行になりがちだったので、非常にありがたいです。

有料読者の方々とだけでオンライン交流会を行ったとき、本当にいろんな読者さまがいらっしゃるなと感じました。栄養学の専門家、弁護士、大学教員の方、芸能人の方、スーパーやコンビニの経営陣の方など、様々な観点から食品ロスに関するご意見をいただけています。

かつてケロッグ社で起こっていた、コンテンツからはじまる知見共有の相乗効果みたいなものを、theLetter のパル通信でより大きく起こしていきたいなと思っています。

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今回インタビューにご協力いただいた『井出留美の「パル通信」』はこちら。

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