個人がメディア化する時代。読者と知識が集まるニュースレターの作り方 | theLetter ストーリー #5 黒猫ドラネコ【トンデモ観察記】
theLetter ストーリーは、theLetter 上で活躍する書き手の方々に、ニュースレターの配信方法や活用の理由などを深堀りして共有する theLetter 公式ニュースレターのコーナーです。
5 回目の theLetter ストーリーでは、ネット上の怪しいもの、エセスピリチュアル、疑似科学、陰謀論などについての考察・注意喚起を届ける『黒猫ドラネコ【トンデモ観察記】』を運営されているライターの黒猫ドラネコさんにインタビューしました。
黒猫ドラネコ【トンデモ観察記】 - theLetter
サマリー
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自分の好きなことと、需要があって貢献できる分野を見つける
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情報を発信することで、情報が集まるコミュニティになる
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一部の人に支えてもらうことで、よりコストのかかる発信が可能になり、広く読まれる
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「トンデモ観察」はなぜ始まった?ニッチな需要を見つける
私が現在のような活動をしているのは、実体験が元になっています。
身内や知人に、怪しいスピリチュアルなものや陰謀論のようなものにハマりやすい人が多かったのです。周囲が「おかしい」と言い続けていたのにもかかわらず、結構危ないところまでハマりこんでしまったことがありました。
その頃からそうした怪しいものを調べて SNS で発信するようになりました。人が何かに妄信的になってしまったり、性格が変わってしまうくらいおかしなことに傾倒してしまったりするのはなぜなのか?というふうに、いろいろ考えるようになりまして。
自分の発信はニッチですが、気になっている方も多いのか、需要がありました。
そうすると、ありがたいことに様々なメディアから「書いてみませんか」「コメントをもらえませんか」などと声を掛けていただいて。それで、ライターとしての活動が始まりました。
私自身、怪しげなものを見るのが好きだし、物事の粗が気になるたちで、一歩引いたところから「これは変なんじゃないの」「おかしいんじゃないの」と、自分で考察することがすごく好きなんです。
学生の頃から、所属しているコミュニティの熱が高まっている中でも、冷静な意見を言うタイプの人間だったし、おかしいと感じたら軌道修正を提案してきたと思います。でもそれが原因で孤立することはなく、孤立しても構わないとは思っていましたが、周囲がむしろ頼ってくれたという経験が積み重なって今の私の性格があるのかなと思います。
その自分の好きなことを続けて、人の役に立てたらいいなと思っています。
情報の多面性と発信することのメリット
私は、何の専門家でも知識を持った人間でもありません。何か研究をした実績があるわけでも、科学や医学の知識があるわけでもなく、むしろ疎いくらいなんです。
ただ、そのことをきちんと自分の中で受け入れた上で発信し、多くの人に広げることによって、ありがたいことに、いろんな知識のある人が私の発信に集まってくださるようになっています。
SNS やニュースレターを通じて発信することで、いろんな方々がこういう考え方や視点もあるよって教えてくださったり、知識が集まるようなコミュニティが形成されると実感しています。
自分で言うのもちょっとおかしいですが、私は自分の中で情報をかみ砕いてから伝えることがわりと得意です。だから、それを自分からたくさんの人に届くように分かりやすく発信して、様々な知識や視点を持った方の意見を引き出していく、という形あれば、特定の情報を求めている多くの人の役に立てるかなと思っています。
今、多くの人が自分から発信できるようになって「これは価値があるよ」「素晴らしいものだよ」ってことばかりがクローズアップされていると思うんですよね。怪しいものとか、トンデモなもの、偽物を広めたい人でもアピールできる時代だと思うんです。
誰でもスマホ一台で発信できて、その情報を選んで受け取れる時代なので、肯定的な意見ばかりを見て、そこで妄信していってしまうという側面があると思います。
でも、否定的な意見も聞いて、賛否両方照らし合わせてから考えることが大事だと思っていて、そうでないと健全な社会生活が送れないと思うんですよね。
これまで人々が積み重ねてきた科学や医学の知見など、そういったものがあるにもかかわらず、それを無視した「これはいいものだよ」「素晴らしいものだよ」といった情報も多く見かけるので、「いや、ちょっとおかしいでしょ」「落ち着いたほうがいいんじゃないの」と自ら切り込むことで、多くの人に広げたいと思っています。
なぜ有料化するか?考え方と執筆環境の現在
現在はありがたいことに、有料の読者さんも集まってきています。
しかし実は、最初は有料化することをすごく迷っていました。私のもともとの支持層には、スピリチュアルグッズなど、「価値が分からないものを売ること」自体に強い嫌悪感を持たれている方が非常に多いというのもありますし、それをなぜか「(自分が)気に入らない物を売ること」自体の強引な批判に繋げてしまう方もいて、その考え方を自分の中でも整理してからじゃないととても不安でした。
いざ始めてみると、私と同じ領域で情報を追っているメディアが少ないせいか、もっといろんなことをやってくださいよ!という感じで、期待してくれている読者の方々が少なからずいらっしゃることがわかりました。
有料化しただけで批判してくる方はどうしても存在しますが、本を売っているのとか、野菜をスーパーで売っているのとそんなに変わらないはず、と私は考えています。騙そうと思っているわけでも、テキトーに発信しているわけでもなく、意味のあるものを作り出していて、ライターとして記事の執筆は労働ですから。その価値を多くの人に見出してもらえるようにしたいな、と今は思うようになりました。
有料化の案として、たくさんの人に見てもらいたい部分は無料にして、私の考え方とかコラム的な部分は有料としたらいいんじゃないかと思って、今のところその発信スタイルで読者が増えていっています。注意してほしいことを発信するのに、料金の有無で区別するのは違うとの思いはあって、今は私の活動を支援してくださる方を募って、お願いしている形ですね。
これからは企業に頼るのではなくて、ジャーナリストやライターが自分の得意分野で需要のあるスペースを見つけて、自分の力で「メディア」になって原稿料を集めるような流れが、これから先もっと進むのではないかなと考えています。theLetter で有料化を決断したのも、こういった期待感があるからです。危機感でもあるのですが、先々で仕事としてやっていくための一歩を踏み出しています。
そして、有料化してある程度読者も増えてきて、今後はもっと現場に足を運びたいと考えています。消費のされ方は注意喚起的な効果でもエンタメとしてでもいいのですが、いろんなところに潜入して、冷静に物事を見て、これはやっぱりおかしいよっていうことを伝えていきたいと思っています。あとは単純に自分の目線で書いたものを多くの人に読んでもらいたいですね。
お金目的でやるわけではないですが、資金があればもっといろんな行動範囲も広がるし、もっといろんな情報を届けられるということも事実です。一部の読者の方々に支えてもらいながら、より多くの人に情報を届けていきたいと思います。
今回インタビューにご協力いただいた『黒猫ドラネコ【トンデモ観察記】』はこちら。
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