個人メディア時代で大切なこと | theLetter ストーリー #7 猫組長TIMES
theLetter ストーリーは、theLetter 上で活躍する書き手の方々に、ニュースレターの配信方法や活用の理由などを深堀りして共有する公式ニュースレターのコーナーです。
個人やスモールチームがソーシャルメディアのアカウントや配信プラットフォームを用いて、誰でも「メディア」として発信できる時代。
7 回目の theLetter ストーリーでは、そんな時代において 10,000 人を大きく超える読者を抱えるメディアを運営されている『猫組長TIMES』の猫組長にインタビューしました。
サマリー
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不特定多数の読み手より、価値を共有できる読者を集める
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「品質」を重視し、チーム運営を設計する
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ニュースレターにおいても、読者との約束・礼儀を守ることが大事
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インプットとアウトプットの良い循環が継続のコツ
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書籍や雑誌、ウェブの違いと今後のメディアについて
これまでの執筆活動としては、週刊誌の連載として週刊SPA! で 5 年間、月 2 回発行のプレジデントで 1 年ちょっと執筆させていただいてました。他は単行本を出版社から計 10 冊以上出してきました。
私が書かせてもらっていた雑誌やウェブの原稿料から得られる収入は、1 本あたり 1,500 ~ 3,000 文字書いて、連載をいくつか持っていたとしても年収 300 万円あればいい方だと思います。
よっぽど売れっ子の人じゃない限り、厳しい業界だと思います。出版不況なんて言われますが、私はメディアが多様化して同じパイをより多くのプレイヤーが分け合いだしただけだと考えています。
その中でも、私はそういった業界では「書籍」や「個人メディア」が強いと考えています。
紙といっても新聞など、速報性の高いものはウェブには勝てません。これからもどんどん置き換わっていくでしょう。しかし「書籍」には信頼性があります。手に取ることができ、陳列することもできるという物質的で実物としての強みがあります。
美術書や歴史書など、学術的なものはとくに、ウェブには向いておらず、普遍的なものや伝統的なものはやっぱり紙で残るんだろうなと私は思っています。自分の考えたものや表現したいものが形として残る。これが一番の強みで、私が単行本を執筆し続ける理由でもあります。
一方「個人メディア」、とくにニュースレターは非常に理にかなっていて、今猫組長TIMESでは、13,000 人以上読者がいますが、最新記事を配信する度にその方々に届き、読んでいただけます。
私の書いたものが不特定多数の 10 万人に届くより、猫組長のメディアに対して登録していただいた 13,000 人以上に届く方が価値のあることです。読者の方々は、私の発信する記事に一定の価値を感じていただけているので、お互い考えを共有できると思うのです。これはお金以上の価値があります。
いろんなプラットフォームがありますが、theLetter は一番そういった熱心な読者さんに集まっていただける強みがあります。
なので単行本はともかく、連載のオファーを今いただいても、猫組長TIMESがあるのでお受けする理由がありません。読者層のこともそうですが、昔いただいていた原稿料から考えると、考えられない額で今、猫組長TIMESで執筆活動ができていますから。
読者 10,000 人突破までの軌跡
読者獲得においては、あまり特別なことはしていません。最も重視しているのは「品質」です。ブレずに「品質」を重視し続けました。
「品質」を保つために行ったことは、チームで運営するということです。私が一人で書くのでは、週に 3 本の配信で読者のニーズに応え続けるのは難しいと考えました。
猫組長TIMESには、優秀で若い書き手が二人いて、彼らに原稿料を払いながら、いろんなニーズに対応できるようにしています。
週 3 本配信の内訳は、日曜日は私、水曜日は元証券マンの中沢さん、金曜日は外資系コンサルキャリアの岩倉さんという持ち回り形式で配信しています。
日曜日の私が担当の回は一週間のマーケット分析・見通し、水曜日は米国株や日本株の証券投資がメインの内容、金曜日はマクロ的な世界のビジネストレンドを配信しています。それぞれの専門分野で配信しています。
毎記事違う書き手が登場することになるのですが、必ず私が編集後記を書くようにしています。編集後記も猫組長TIMESの人気コンテンツです。今トレンドのトピックで自分の思ったことなど、自由にコラムとして書かせてもらっています。
毎回の記事テーマは各々で考えていて、私の回以外の内容は二人に完全に任せています。私だけだと視野が狭くなったり、偏った内容になってしまい、それがずっと続いても面白くない。そこで他の書き手二人が若い視点でいろいろ書いてもらっていて、むしろ私自身が勉強になっています。私と異なる考えであったとしても、内容を私が勝手に修正することはありません。ただ「クオリティーだけ重視してください」とだけお願いしています。
「手を抜くことなく淡々と継続してきたこと」が上手くいった要因の一つだと感じています。
最初の読者 5,000 人を超えてから急に成長率が落ちたと感じました。さらに、やはり 10,000 人を超えるとまたぐっと成長率が重くなるように感じます。1,000 人のときに 100 人増えるのと、10,000 人のときに 100 人増えるのとでは、同じ成長でも「率」が違いますからね。笑
それでもずっと読者は増えてきたのでやりがいを感じています。とくに大きいトピックがあったときに読者は増えます。私の領域でいえば、マーケットが大きく荒れたときや、大きな出来事があったときです。例えば、岸田政権誕生のときも数字が大きく伸びました。
やはり皆さんが興味を持っている話題を取り上げることも重要です。
ニュースレターメディアの運営は読者との信頼関係が大切
ニュースレターメディア運営は、社会において重要なことと同じく、約束や礼儀みたいなものを大事にすべきだと私は考えています。
決まった日に必ず書く。これは基本ですよね。1 日遅れるのも自分の中では NG です。私は週刊誌で書いていた頃から、一度も締め切りを破ったことはありません。当時は出版社さんでしたが、今は読者の方々から直接お金をいただいています。ニュースレターの配信は読者との約束だと思って書いています。
当たり前のことかもしれませんが、失礼なことを書くのもよくないです。私は考えが偏った人間なので、個人の SNS では失礼なことを書くこともありますが、猫組長TIMESではより社会性が問われていると考えていて、礼儀・礼節の部分も大事にしています。
読者との約束の一つとして「継続」も大事です。せっかくやるからには、いかに長く質を落とさずに継続できるか?が重要だと考えています。ガッと一度に注目を集めて集客しても、次に出すコンテンツが読者の期待を超えてこないと、やはり成長しないわけですよね。地道に真面目にやっていければと思っています。
継続のコツとしては、インプットとアウトプットの習慣の設計をいかにするかだと考えています。書くためにはあらゆる情報のインプットが必要です。例えば、毎週日曜日に相場のことを書いていますが、それを書くためには毎日マーケットを分析しなければいけません。
しかしこれ、自分自身がすごく勉強になることなのです。ある意味自分のために書いているとも言えます。なのでコストだとは感じていません。それをアウトプットすれば、お金を払ってくださる方がいて、二人の書き手にも他媒体より高い原稿料を支払えています。
このサイクルがコストのかからない小さな出版・メディア企業のようで、とても気に入っています。
今後どんなメディアにしたいか?価格設定や有料と無料の違い
有料読者はもちろん、無料の読者も大事な読者です。なので記事の質は無料でも有料でも決して手を抜くことはしません。
猫組長TIMESは月額 2,000 円という、わりと高めの価格設定にしています。わざと高くしている理由は、読者の質を高めたいからです。無料配信との差別化としては、有料の記事の内容の濃さだけでなく、月 1 回ほどオンラインイベントを開くようにもしています。
有料読者とはインタラクティブな交流ができていると思います。猫組長TIMESの有料読者は投資や経済が好きな人が多いので、その週のマーケットの見通しを直接話したり、質問にお答えしたりという感じです。
猫組長TIMESは、一方通行なニュースレターだけでなく、もっと複合的なメディアにしたいと考えています。
例えば、私は「猫組長TIMESで書きたい」という人が増えてくる状態を目指しているんですよ。十分 3 人でやっていけるので書き手の数が必要なわけではないのですが、腕のある人がここで書いてみたい!と思うようなメディアにしたいなと思っています。
こうやって情報を配信できる、個人や小さなチームが誰でも書けるプラットフォームがどんどん出てきているということは、チャンスが広がっているということなので、挑戦する方はどんどんやってみたらいいんじゃないかなと思っています。
今回インタビューにご協力いただいた『猫組長TIMES』はこちら。
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