有名メディア編集長経験者たちが語る「個人発信のコツ」

theLetterを書き手として利用している松浦シゲキさん、まむしさん、亀松太郎さんとオンラインイベントを開催したレポートをお送りします。
theLetter運営 2024.09.06
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「theLetter」でメディアを運営する3名をお呼びして、『【個人発信の現在地】有名メディア編集長経験者たちが語る「個人発信のコツ」』と題したオンラインイベントを行いました(2024.06.06)。この記事では、イベント当日に話されたことをピックアップしてレポートします。

登壇者プロフィール

theLetterオンラインイベント『【個人発信の現在地】有名メディア編集長経験者たちが語る「個人発信のコツ」』登壇者

theLetterオンラインイベント『【個人発信の現在地】有名メディア編集長経験者たちが語る「個人発信のコツ」』登壇者

松浦シゲキ:メディアコンサルタント・コミュニケーションプランナー。言論メディア「BLOGOS」のプロデュース、「WIRED.jp」のデジタル担当、「ハフポスト日本版」の創刊編集長、「SmartNews」などを歴任。theLetterで『松浦シゲキのメディア・コミュニケーション・インサイト』を運営。

まむし:国内大手のメガベンチャー編集部門の責任者として10以上のウェブメディアの立ち上げに携わる。著書に『誰も教えてくれない編集力の鍛え方~AI時代を戦う編集者・ライターの生存戦略~/まむし』(‎ イージーゴー)。theLetterで『まむし「みんなの編集会議」』を運営。

亀松太郎:朝日新聞記者、法律事務所リサーチャー、「J-CASTニュース」記者を経て「ニコニコニュース」編集長として報道・言論コンテンツを制作。その後「弁護士ドットコムニュース」編集長、朝日新聞運営「DANRO」編集長(その後同社から買い取る)、関西大学特任教授(ネットジャーナリズム論)。theLetterで『あしたメディア研究会 NEWS』を運営。

誰もがコンテンツをつくる時に重要なこと(松浦シゲキ)

「個人発信のコツ」という形で、トップバッターでお話させていただきます。メディアの単位が「コトからヒトへ」変化している時代です。といっても個人発信の歴史は長くて、90年代後半のブログから現在のX(旧Twitter)までどんどん進化してきています。昔はテレビに代表されるように作り手と伝え手が一体化していて、ユーザーは受動上位。チャンネルをつけるだけで、もれなく情報が入ってくるのが普通でした。

それが、インターネットの登場で誰もが情報を作れるようになりました。プラットフォーマーと言われる事業者が登場し、パーソナライズでコンテンツを伝えられるようになった。テキスト・動画・音声、全てが民主化したんですね。また、Googleが検索という手段を提供したので、ユーザーは情報を受け取るだけでなく、自分でも探せるようにもなりました。インターネットを通じて情報を流せる状況の中で、個人の発信は止めようがない話だと思います。

ただ、皆さん「作ることばかりに集中していませんか?」と思うことがあります。コンテンツが受け手に届く前には、必ずコミュニケーションが発生しています。検索やソーシャルネットワークでどのようにコンテンツを渡していくか、そこの今一度設計をすることで伝わりやすくなります。受け手にとって、作り手への信頼の文脈ができているかどうかが、実は大事なのです。

情報発信において大切な三つのポイントを挙げます。

  • 「受け手」は誰かを考える

  • 「受け手」と「伝え手」の間にあるコミュニケーション設計を行う

  • 伝わりやすいコンテンツを作る

「受け手が誰か」は考えたほうがいいです。作ってばかりで受け手のことを考えないと、なかなか届かない。次に、受け手と伝え手のコミュニケーション設計です。検索やソーシャルネットワークでどのようにコンテンツが伝わるのかを考えることが大事なんですね。その上で、プラットフォーマー、GoogleでもXでもいいですが、そこを経由してコンテンツを受け取る人に伝わりやすいものを作ることですね。

この三つは私がメディアを作る上でやってきた事ですが、個人の情報発信にも当てはまると思います。

ゼロから個人発信を始めて書籍を出すまで(まむし)

僕は個人発信を2022年から始めました。休止していたX(旧Twitter)を再開し、noteも開設して発信していった結果、縁があって2023年には初の著書となる『誰も教えてくれない編集力の鍛え方』を出版する機会を得られました。今年からはtheLetterと、Podcastでの音声配信も始めています。

個人で発信を始めた理由は主に三つです。リモートワークで人間関係が閉鎖的になったため、人間関係を広げたいと思ったこと。今流行っている発信の手法を、動画でも音声でも、自分で一通り理解して使っておかないと乗り遅れるんじゃないかと思ったこと。長年の編集者としての経験を社会に還元したいと思ったこと。この三つが重なったタイミングでXを再スタートしました。

発信を始める際に自分に課したルールは、背伸びしないこと、自動化しすぎないこと、一対一のやり取りを大切にすることの三つです。同僚や家族に見られても恥ずかしくない、等身大の発信をすること。また、自動で情報を得て自動で配信する、みたいな仕組みもチャレンジしたことがありますが、その結果得られるものは少なったです。それよりは、一対一のやり取りで、まずは数人、仲良い人を作った方が満足感得られたのでそこは大事にしています。

XやUGC(User Generated Content)を盛り上げていくために考えているのは次の四つの段階です。

  • まず仲良しを作る

  • 仲良しとの対話をコンテンツにする

  • 盛り上げてお祭りにする

  • 次のチャレンジをやる

Xを始めて1年後には書籍化が決まり、この段階をうまく走れたなという実感があります。

最初は日常的な気付きや驚きを発信していましたが、そのうちに DM したりして個別に仲間ができていきました。そうすると自然に一緒になにかやろう!となり、お互いにnoteを書き合おうという話になりました。中でも「原稿料を上げたくなるすごいライターはココが違う」という記事は大勢の方に読んでいただけて、フォロワーが増えました。

記事の内容を掘り下げる音声ライブをやるとセミナーの依頼が届くようになって、今度はセミナーをガンガンやったら「その内容をまとめませんか」とお話を頂いて、という具合に機会に恵まれていきました。僕自身もDMを送って個別にZoomの面談を組んではディスカッションを繰り返していたので、その中でいろいろな話が決まっていったんです。関わった人に打診して、打診を受けて、お祭り的に様々なチャンスをいただけました。

無名からのし上がれた要因分析としては、僕自身のフォロワー数は大して多くないけれど、実績がある人との個別のやり取りを大切にしてきたことが大きかったと思います。泥臭く一対一のやり取りの質を高めて、お互いのSNS投稿を見て背景が分かり合えるぐらい仲良くなったのが強かったのかなと。

個人発信のメリットとしては、日常生活で出会えないような方々と人脈が作れたし、自分で発信する実験ができました。自分の知見も皆さんに広められたし、非常に良い結果が得られたと思っています。僕はそんな感じでやってきました。

個人メディアの目的を分類!自分がなぜ発信するか考える(亀松太郎)

「個人発信のコツ?」と題してお話しします。僕自身、個人発信がうまくいっているとは思っていませんのでタイトルに「?」が付いています。反面教師として聞いていただければと思います。

僕は転職が多く、1995年に大学を卒業してから新聞記者を始め、ニュースメディアなど様々な職を経験しました。現在はフリーランスとして、メディア運営や記事執筆などを行っています。

個人発信の場として、「Yahoo!ニュース エキスパート」での発信、「プレジデントオンライン」などネットメディアへの寄稿、Facebookなどのソーシャルネットワーク、theLetterを使って発行しているニュースレター、そして独自サイトDANROなどを活用しています。

個人の名前で発信するには、自分はまだ無名だと思う場合は、何かテーマを決めてメディアを運営し、自分が編集長を務める方法もあります。

個人発信の目的には、発信自体が目的の場合や情報収集、ブランディング、仕事獲得、マネタイズなどがあります。僕の場合、発信自体が目的であることが多く、次いで情報収集を重視しています。仕事獲得は、目的の割合としては2割ぐらいの感覚です。目的によって取るべき手段も変わると考えています。

仕事獲得に関しては、僕の場合はほぼ全てリファラルと言われる、知り合いからの紹介で仕事につながることが多いですね。今日のお話とは少しズレるかもしれませんが、オフラインでの交流、人と会うとか取材するとか、一緒に仕事するとか。あとは飲みに行くとか、そういう対面的なものが大事だと思っています。

ただし、個人発信は、仕事を一緒にやっている人が見ている可能性があるので、間接的に仕事に影響があります。マイナスに働かないように、発信に注意した方がいいと思います。

現在、僕はオウンドメディア支援の仕事が多いですが、今後はより自分の関心に沿った記事執筆やメディア運営に力を入れたいと考えています。そうなると、結局個人発信の強化も必要になるので、今後はもっと頑張りたいと思っています。

***

イベントは参加者からの質問などもあり、よりディープな内容となりました。参加者からも、『「受け手と伝え手の間にあるコミュニケーション設計」のお話の中で、「Googleのためではなく受け手の為に発信すること」「作ることばかりに集中しない」というお話が心に残りました。』などのお声をいただきました。

theLetter では不定期で書き手とのイベントを企画しています。またご参加をお待ちしております。

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